まだ口の中にあるかも?アマルガムの特徴と交換したほうがいいケース

「昔に治療した銀色の詰め物、これって大丈夫?」と気になったことはありませんか?
それは「アマルガム」と呼ばれる歯科材料かもしれません。
かつては世界中で広く使われてきましたが、今ではほとんど使われなくなっています。
今回は、アマルガムがなぜ使われてきたのか、どんな問題点があるのか、そして交換したほうがよいケースについて解説します。
アマルガムとは?
アマルガムとは、水銀に銀・スズ・銅などの金属を混ぜ合わせて作られる合金のことです。
少し濁ったような銀色をしており、硬さと耐久性に優れているため、虫歯治療の詰め物として世界中で長く使用されてきました。
19世紀に歯科治療で広く取り入れられて以来、アマルガムは「安くて丈夫」という特徴から、特に奥歯の治療に多く使われてきました。
治療方法も比較的シンプルで、短時間でしっかり詰められるため、当時としては画期的な材料だったのです。
日本でも保険診療で扱われてきたため、今も多くの方のお口に残っています。
アマルガムが歯科治療で使われてきた理由
アマルガムが広く普及した最大の理由は、費用の安さと高い強度です。
アマルガムは金やセラミックと比べて材料費が安く、保険診療で使えることから、患者さんの金銭的な負担が少なく済みました。
また、奥歯のように強い力がかかる部分でも十分に耐えられたため、さまざまな部位に応用しやすく、治療で重宝されました。
さらにアマルガムは、歯科医師にとっても取り扱いやすい材料で、比較的短時間で治療を終えることができました。
そのため、治療回数や時間を抑えられ、患者さんにとっても負担が少ない治療方法だったと言えます。
「安くて丈夫、扱いやすい」ことが長く使われ続けた大きな理由です。
アマルガムの問題点
アマルガムは長年使われてきた材料ですが、次第にいくつかの問題も明らかになってきました。
アマルガムの問題点は次のとおりです。
見た目が目立つ
アマルガムは銀色なので、口を開けると光って目立ってしまいます。
前歯など、笑ったときに見える部分にあると、気になる方も多いです。
「銀歯が気になる」という審美的な問題は避けられません。
経年劣化によるトラブル
アマルガムは経年により劣化を起こす素材です。
劣化によりひび割れや隙間ができると、その部分に汚れが溜まり、二次的に虫歯になってしまうことがあります。
劣化による二次虫歯のリスクは大きな懸念点です。
健康や環境への悪影響
アマルガムは水銀を含むため、金属アレルギーのリスクや環境への影響が指摘されています。
2013年の「水俣条約」により、水銀の使用削減が国際的に進められ、歯科でも使用が減少しています。
水銀を含むことが国際的にも問題視されています。
入っているアマルガムを交換したほうがよいケース
アマルガムが口の中に残っていても、すぐに体に害が出るわけではありません。
詰め物として安定している限りは、健康被害を心配する必要はほとんどありません。
実際、アマルガムが入っていても、ほとんどの方は長年問題なく生活しています。
ただし、年月が経つと劣化してひび割れや欠け、隙間からの虫歯再発が起こりやすくなります。
また、体質によっては金属アレルギーを引き起こす可能性があったり、見た目が気になったりする場合もあります。
こうしたときには、別の材料に交換を検討することが望ましいです。
- 詰め物が欠けている、割れている
- 虫歯が再発している
- 金属アレルギーの症状がある
- 見た目を改善したい
- 水銀が口の中にあるのが気になる
アマルガムに含まれる水銀による健康被害については、はっきりとわかっていませんが、それでも「水銀が入っているのが何となく気になる」ということはあるでしょう。
そのような場合は、近年使われている別の材料に置き換えるのが良いでしょう。
「不安を感じたら相談して交換を検討する」ことが安心につながります。
アマルガムに変わって使われている材料
アマルガムがほとんど使われなくなった現在、使われている材料には次のものがあげられます。
コンポジットレジン(CR)
保険が適用になります。
白く自然な色合いで、小さな虫歯や前歯に多く使われます。
即日で治療でき、費用も安価です。
ただし、大きな虫歯や力のかかる奥歯には不向きな場合があります。
小さな虫歯なら手軽に白く治せる素材です。
金銀パラジウム合金
奥歯の詰め物や被せ物として昔から使われています。
保険が適用になります。
強度はありますが、金属色の銀色が目立ちます。
丈夫だが見た目に難がある従来の金属です。
CAD/CAM冠・CAD/CAMインレー
コンピューターで設計・加工するプラスチック系の素材で、白く目立ちにくいのが特徴です。
条件がありますが、保険が適用になります。
最近では、金銀パラジウム合金よりも、こちらが主流になってきています。
金属を使わないため、金属アレルギーのリスクも避けられる点が大きなメリットです。
「保険で白い歯」が選べる新しい治療法です。
セラミック
オールセラミック・e.max・ジルコニアがあります。
自費治療になりますが、自然な透明感と美しい白さが特徴です。
変色しにくく、長期間安定して使えます。
審美性を重視する方に人気があります。
特にジルコニアは、強度が高く、奥歯など強い力がかかる場所にも適しており、審美性と耐久性を兼ね備えた素材です。
「見た目の美しさと長持ち」を両立できる素材です。
交換の際に気をつけたいこと
アマルガムを削って取り除く際には、水銀を含む粉じんや蒸気が発生します。
そのため、歯科医院では口腔外バキュームなどの機器を使い、安全に除去を行っています。
過剰に心配する必要はありませんが、気になる場合はまず歯科医院で相談すると安心できるでしょう。
除去は必ず歯科医院で安全に行うことが大切です。
まとめ
アマルガムは「安くて丈夫」という理由から長年使われてきた歯科材料ですが、見た目や経年劣化、水銀による健康や環境への影響といった問題が指摘されています。
すぐに危険というわけではありませんが、欠けたり虫歯が再発したりしている場合、また水銀が含まれていることに不安を感じる場合には、交換を検討したほうが安心です。
気になる方は、一度歯科医院でチェックを受け、アマルガムが入っている場合には、交換を検討すると良いでしょう。
不安があれば一度チェックしてもらうことが安心への第一歩です。