インプラントが保険適用になる条件と自費診療の実際
歯科治療での「インプラント」とは、歯を失ってしまった場合に、顎の骨に金属でできた人工歯根を埋め込む治療方法を指します。
基本的に自費診療となるので、保険は適用になりません。
ただし先天的に顎骨や歯に問題がある場合には保険が適用となるケースもあります。
今回は、保険適用になるケースと、自費治療でインプラントを入れる場合の費用の実際について紹介していきます。
保険診療と自費診療の違いとは
最初に、保険診療と自費診療の違いについて説明します。
まず保険診療というのは、健康保険に加入している全ての人が、どの医療機関でも同じ内容の診療を同じ金額で受けることができる仕組みのことです。
そのため、必要最低限の医療を提供するものとなっています。
歯科治療の場合も同じです。
治療内容によって細かく保険点数が決まっており、どの歯科医院でも同じ金額となります。
保険診療では、決められた治療手順で決められた材料で行わなければなりません。
それに比べて自費診療は、治療方法や使用材料に決まりはありません。
費用はそれぞれの歯科医院で決めることができる仕組みになっているので、歯科医院ごとに異なります。
最低限の治療という制約がないので、最新の治療法で高品質・高性能の材料を使用することができます。
保険診療と違い、全額自己負担になるため、費用は高額になります。
インプラントはこの自費診療となります。
その他、病気を治すためではなく見た目を美しくする治療は、保険診療の対象にはなりませんので、歯科治療では「審美歯科」や「矯正歯科」の治療が自費診療となります。
インプラントが保険適用になる条件とは
通常、保険が適用されないインプラント治療ですが、以下のような特殊なケースでは保険適用になります。
- 病気や第三者行為の事故によって、顎の骨が広範囲にわたって欠損した場合
- 生まれつき1/3以上の顎の骨の欠損や形成不全がみられると診断された場合
また、2020年4月より、生まれつき永久歯が生えてこない「先天性欠損歯」が6本以上ある場合や、先天性欠損歯が連続して4本以上ある場合も保険診療が可能となりました。
このように先天的に問題がある場合や、顎骨の大部分を失ってしまった場合となりますので、虫歯や歯周病・破折などで歯を失っても保険適用にはなりません。
インプラント治療を保険適用で受けることができる病院
保険適用でインプラント治療をする場合、治療を受ける病院にも制限があり、以下のようなきまりがあります。
- 歯科または、歯科口腔外科を標榜している保険医療機関であること
- 当該診療科に係る5年以上の経験及び当該療養の3年以上の経験を有する常勤の歯科医師が2名以上配備されていること
- 病院であること
- 当直体制が整備されていること
- 医療機器保守管理及び医薬品に係る安全確保のための体制が整備されていること
以上のことから一般的な歯科ではなく、大学病院などの規模の大きな病院の歯科・口腔外科となります。
自費診療でインプラント治療をする場合の費用
インプラント治療は、自費診療となるので、その費用はそれぞれの歯科医院によって異なります。
相場は、前歯でも奥歯でも1本あたりおよそ30万円~40万円です。
骨量が足りない場合など、骨を増やす手術が必要な場合があります。
その場合の追加費用は5万円~30万円程度と、お口の中の状況によって大きく差があります。
また、多数歯が欠損している場合、必ずしも全ての歯に対して1本ずつインプラントを埋入する訳ではありません。
数本のインプラント体を埋入し、その上に入れ歯やブリッジのような上部構造を取り付ける場合もあります。
そのように多数歯欠損の場合には、色々なパターンが考えられるため、費用は様々となります。
インプラントの治療費の負担を減らす方法
インプラント治療は保険適用にならないので、少しでも治療費の負担を減らしたいと考える人も多いでしょう。
医療費控除を利用して、税金の還付を受ける方法があるので紹介します。
医療費控除とは
医療費控除とは、1年間(その年の1月1日~3月31日まで)の間に、10万円以上の医療費を払った場合に、納めた所得税の一部が戻ってくる制度です。
確定申告の際に、申請をすることができます。
治療費をデンタルローンや、カード払いにした場合でも対象となります。
インプラントのような歯科治療費のほか、通院時のバスや電車などの公共交通機関の交通費、バス・電車で通院できない場合のタクシー代、医師の処方による薬も対象になります。
インプラント治療以外でも、医療機関にかかっていることも多いと思います。
医療費を支払った場合等の領収書はしっかり保管しておくようにしましょう。
まとめ
インプラント治療は、基本的には保険が適用となりません。
保険適用となるのは、先天的に問題がある場合や、顎骨の大部分を失ってしまった場合など非常に特殊な場合に限られます。
インプラント治療を希望する場合、保険適用の場合のように、安価で施術を受けることはできませんが、医療費控除を利用して少しでも負担を減らすことはできます。
利用できる方法は積極的に利用するのがおすすめです。